苔の可能性を広げる新たな一歩 株式会社リバネスと苔による新しい屋外・屋内緑化を目指した吸水基盤開発の共同研究を実施

株式会社ジャパンモスファクトリー(本社:東京都港区、代表取締役 戸上 純 以下ジャパンモスファクトリー)は、株式会社リバネス(本社:東京都新宿区、代表取締役社長 CCO 井上 浄 以下、リバネス)と苔植物の新たな社会実装を目指し、ジャパンモスファクトリーが生産する苔原糸体を用いて屋内外の緑化を目指す緑化資材開発の共同研究を実施しました。

【研究の背景と目的】

 近年苔は、従来の観賞用やインテリア用途にとどまらず、屋上緑化資材や、空気清浄、オフィスワーカーのストレス軽減を目的とした屋内緑化商品への活用が進んでいます。しかし、苔の成長速度の遅さや生産量の不足からくる天然苔の違法採取、水分管理の難しさによる維持管理の失敗や、フェイク素材の利用に対するグリーンウォッシュ(環境配慮を装った演出)への批判も高まっています。

 このような状況を受け、本共同研究では、本物の苔を用いた持続可能な屋内緑化資材の開発を目指し、ジャパンモスファクトリーが有する、苔の苗木にあたる「苔原糸体」の大量培養技術に加えて、安定して水分供給を行えることで原糸体を茎葉体(植物の形の苔)に成長させるための吸水性基盤材料の研究開発を行いました。

【実験結果】

本共同研究は、2025年3月から4月にかけて、複数種類の吸水性基盤に対して検討を行いました。苔原糸体に適切な水分を安定供給できる吸水性基盤の素材探索を目的とし、セラミック素材、吸水性繊維素材の計4種の検討を行いました。

 第一段階として、各素材の吸水性能の検討を行ったところ、底面の浸水のみで素材全体が湿潤状態となり、基盤として十分な吸水能力があることがわかりました。第二段階では、吸水基盤上での苔原糸体の生育実験を実施しました。各基盤に原糸体を吸着させて、35日間にわたってLED光下で水分と光の管理を行いました。その結果、すべての素材において原糸体の茎葉体化、すなわち植物の姿の苔になることが確認されました。また、垂直面での苔の生育も見られるなど、パネル化や壁面緑化への応用可能性を大きく示唆する結果となりました。

実施期間:2025年3月1日〜4月30日

検討対象:セラミック素材、吸水性繊維 合計4種

吸水基盤上の苔原糸体(左)と、茎葉体化後の様子(右)

【今後の展望】

 本研究では、吸水性に優れ、かつ苔の生育に適した吸水基盤の有望性が確認されるとともに、今後の応用に向けた基礎技術が整えられました。研究成果は、単なる素材評価にとどまらず、将来的な屋内緑化、教育利用、さらには海外展開を見据えた製品開発への重要なステップとなっています。今後は、さらに吸水基盤側の開発を進めるとともに、吸水基盤のユニット化(壁面設置型)や基盤への給水方法の開発も進めて参ります。

・株式会社リバネスについて

代表者:代表取締役社長 CCO 井上 浄

所在地:東京都新宿区下宮比町1-4飯田橋御幸ビル5階

URL:https://lne.st/